Staff Column
クラフトビールの醸造家になる-Part5-店舗改装その2-解体

店舗改装をお願いしたのは、俳優であり大工もできるM浦さん。
聞くとM浦さんはスーパー大工で、特殊な免許が必要な(電気工事とか)工事以外は、やろうと思えば全部やれちゃうのだとか。
例えば、通常大工さんと言うのは、建築物の骨組みを建てる人であって、壁の塗装やら床やらは内装屋さんが行う一方、M浦さんは解体工事から内装まで一通り全部できてしまうのです。
ということは、M浦さんにお願いすれば施工会社はいらない……?
しかし事は簡単には進まずでして。
M浦さんに物件を見てもらったところ、今までの仕事の中でも最も規模が大きくて、一人では難しい、との回答が。
それもそうです。
施工会社の立ち位置さえ理解してなかった私が施主ですよ。
M浦さんの不安が大きいのは当然です。
そもそも工事というのは、職人が居て材料が揃って始めて開始できるもの。
工事の進捗に従って次の工程へと無駄なく進行させるには、施工会社の方が現場を監督し、必要な設備や資材が予定された期日までに揃えるのが当たり前な世界。
そうした手配を、工事の手を動かしながらM浦さんが一人でやるの……?
醸造場ありの店舗と2階建の全面改装を?
内実を知っているからこそ、一人では無理という結論に達するのは当然の帰結です。
だがしかし。
ここはなんとしてでも口説き落とさなければならない、と私も必死でした。
涙目になっているM浦さんをガッチリ捕まえ、「私も手伝いますから!!」と頼み込みました。
渋々引き受けてくださったM浦さんはきっと工事の期間中、何度も後悔したと思います。
が、私にとってM浦さんとの出会いは、何にも増して幸運中の幸運だったと思います。
改装工事は、9月1日から開始しました。
まずは要らないものを撤去&解体です。
元は中華料理屋だったこともあって、キッチン側は油汚れでそれは汚い状態。
ここを醸造場にする上では、汚れたもの全てを取り除いて新規に内装し直さないとなりません。


壁に貼ってあったステンレスを剥がし、天井も外壁も全て壊して、ほぼ柱だけを残す形へと作業します。
白眉は天井です。
食べ物を扱っている店には害虫、害獣は付き物で、天井を剥がした際には黒い玉粒みたいなものがバラバラっと落下してきました。
これ、全部、ネズミの糞です。怖〜〜〜!!
黒いおぞましい殻のようなものは、Gの卵。
初めて見るものばかりで悲鳴を上げてばかりの私に構うことなく、M浦さんは次々と作業を進めていきます。
カッコイイ……。
解体だけで2週間はかかるのでは?と思っていましたが、あっという間に1階2階をやっつけてしまって、10日目には大量の廃棄物を処分することができました。


この段階で私はすでにヘトヘトですが、解体が済んだら次の工程へと進めていきます。
しかしながら、どこからこの体力が出てくるのでしょうか?
M浦さんは解体しながらも部屋全体の面積を計算して、壁と天井に使う「ケイカル」という板と断熱材を発注。
また、劣化した柱を補強するための柱材なども発注して搬入します。
今思い出しても大変だったな……と感慨に耽りたくなりますが、工事は始まったばかり。
M浦さんは休むことなく働き続けました。
ー続くー