Staff Column

クラフトビールの醸造家になる-Part7-日本の規格と外国製は違う?

マッシュタンクのコンセント。爪が5本もある……。

着工から4ヶ月目に、醸造機器を設置できる段階まで漕ぎ着けました。
床と壁、天井は防水加工を施し、すっきりした空間にいよいよ醸造機器が並ぶのです。
すごく嬉しいのだけど、果たしてこれらをどうやって繋ぐのか?
実際に電源は入るのか?
取扱説明書は一通りありますが、「こうやって繋ぎなさいな」という説明書きは一切、ありません。

今回購入したドイツ製のSPEIDELという醸造機器は、400Vの電圧を必要とする機械です。
ちなみに、ボルトとワットとアンペアについて学校で習ったとおもいますが、それが何だったか、今でも覚えていますか?

私は正直うろ覚え。
機械を購入する際、U出さんから400Vであることは聞いていたのですが、ボルトが400 だから何なの?ぐらいの理解でした。
しかし、これが機械を作動させる上でめちゃくちゃ大事なことでして。

そもそも日本の一般住宅では、100Vか200Vまでしか電気を引くことができません。
大きな工場なら高圧を送り込むことは可能だそうですか、そうするためには高圧電線から送られてくる電圧を400Vに降圧させるために、電柱の上の方についている変圧器を取り替えなければなりません。
これ、東京電力に問い合わせたのですが、「普通の住宅でも敷設することは理論上可能だが、危険だしお金結構かかります」と言われました。
おおよそ200万円ぐらいだって……。

へ? やばくない? 
機械買っちゃったよ!?
どーすんの?

まさに、実際に直面しないと問題の大きさを理解しないという、脳天気バカヤローだった訳です。
しかもコンサルタントとして入ってもらったU田さんは、「そう言いました」と言うだけで、解決策は持ってないという始末。
そいうのを解決するのがコンサルじゃないんか!と怒り心頭ですが、この爺さんに当たっても何も進展しないのです。

現代のありがたみを感じたのはこの時です。
とにかくGoogle先生に聞きまくって、「高圧」「変圧」「200Vを400Vに」などとキーワードを打ちまくり検索しまくった末に、「昇圧機」なる「トランス」という機械を入れれば何とかなることを発見しました。

トランス。
初めて知る名前。
では、そのトランスとやらはどうやって手に入れるのか?とまた検索しまくった結果、何社かから見積もりを取るところまで漕ぎ着けました。

そもそもトランスを発注する上で、「どの程度のKVA が必要ですか?」と各会社から質問されますが、
KVA……?
はたまた聞いたことない単位!
もう、未知の世界!!と大混乱。
しかし日本は良い国でして、電話して相談したところ、ご担当の方が懇切丁寧に計算して教えてくれたのです。

結果、各社、考え方がそれぞれありKVAの算出量にも違いがありました。
そうした中、一緒に考えてくれて、予算も程々のところに落ち着けてくれそうな会社に決めました。
醸造場に入れるためのサイズ感も合わせてくれるとのこと。
ありがたや。

で、実際に到着したのがこちら。

この小さい箱がトランスです。
男性3人がかりでも相当な重さ。
最も必要だったと思ったのは、見積もりを取った会社の中で唯一、「パワーゲート付き」=「トラックの荷台の後ろに付いてるエレベーターみたいなやつ」で運んでくれる、かつ、軒先渡しじゃなくて設置場所まで運ぶのを快諾してくれたところでした。
その他の会社は、「自分で取りに来ること」とか「トラックから下ろすのは契約者側」とかの条件でしか受けてくれませんでしたが、パワーゲートなしでどうやって下ろせるんかい!と唖然とするほどの重量でした。

                   ー続くー